1)研究テーマ
当研究室に配属された学生は4月初めに本人の興味や希望、身に付けたいスキル等のヒアリングを行った後、研究テーマを決めます(通常、松元教授と平田教授が半分ずつ主指導教員になる)。
実験には多額の研究費が必要となるため、必然的に学生の研究テーマも獲得できた競争的資金の研究内容に依存します。必ずしも自由に研究テーマを選べる訳ではありません。
超偏極13C MRIによるストレスが誘発する脳機能障害の可視化
現在、松元教授グループでは、“超偏極13C MRI”という新しい代謝イメージング技術と蛍光顕微鏡を活用して、様々なストレス・末梢疾患(感染症、視覚障害、熱中症、潰瘍性大腸炎など)が誘発する脳機能障害を、「脳の代謝変化」を指標に、MRIを用いて非侵襲的にイメージングする研究を主に行なっています。脳機能障害 = 脳神経活動の変化であり、脳神経活動は活動電位に必要な細胞内外のイオン濃度勾配の形成と神経伝達物質の再取り込みに膨大なATPを必要とします。私たちは、脳内でこのATPを作るエネルギー代謝速度をMRIで非侵襲的にイメージングして、蛍光顕微鏡で脳内の神経活動や神経伝達物質の遺伝子発現との相関性を調べることで、うつ病や不安障害、認知機能障害などの汎用の画像診断技術では見えない「脳機能障害や精神疾患の見える化」を目指しています。
メーカーエンジニアやプログラマーを目指す学生には、超偏極装置の開発、MRIの画像処理や画質向上、蛍光顕微鏡写真の全自動解析法の開発やAIの応用など、プログラミングを中心とした研究テーマを与えています。一方で、生物学や医療に興味があり製薬企業や医療機器メーカーへの就職を考えている学生には、実際にストレス疾患モデルマウスを作成し、超偏極13C MRIによる脳代謝計測、行動解析による脳機能評価、神経活動や遺伝子発現解析による病態解析の研究テーマがあります。
学術変革領域A「pH応答生物学の確立」プロジェクトの海洋生物学研究
令和7年度から文部科学省の学術変革領域A「pH応答生物学の確立」という大型プロジェクトが採択されました。松元教授は「A03:pH可視化・操作班」として、生物個体のpH場を形成する乳酸や重炭酸イオンなどのイメージング技術を担当します。まずは、ゼブラフィッシュやキリフィッシュのような魚類の超偏極13C MRI撮像による代謝イメージングや、海洋酸性化の影響の可視化に挑戦します。魚や海が好き、気候変動に関心があるなど、この新しい学術研究分野の開拓に参画したい学生を募集します。
国際学会発表と海外研究活動
松元教授グループでは、国内よりも国際学会での研究発表を重要視しています。国際学会参加には場所にもよりますが、1人40万円以上の研究費(参加費+旅費)掛かるため、新規性のあるメインデータが得られていることを発表条件としています。学年は全く関係なく研究成果を挙げた学生を優先して連れて行きます。
2024年度 M1とM2が各1名 国際分子イメージング学会WMIC@モントリオール(カナダ)
2025年度 M1が2名、M2が1名 国際磁気共鳴医学会ISMRM@ホノルル(米国ハワイ)
2026年度 脳神経科学会SfN ワシントンDC(米国)参加予定
2027年度 ISMRM@バンクーバー(カナダ)参加予定
また、台湾のトップ研究所であるAcademia Sinicaと研究交流があり、希望する学生はいつでも2週間から数ヶ月間、台湾で実験できます。渡航費・滞在費は全額支給、2ヶ月以上では生活費も一部支援されます。短期留学してみたい学生は是非チャレンジしましょう。
2) 研究室活動と基本ルール
コアタイム:9:30〜18:00
研究室を休む場合には、必ずSlack等で教員に連絡する。
アルバイト等で早く帰る場合には、その日の不足分を他の日に補うこと。
研究室ゼミは毎週金曜日の3限目(13:00〜14:30)
研究進捗報告(progress)が年4回、文献紹介(journal club)が2回、発表が回ってきます。
ゼミ以外に月1回程度、松元教授グループ会議があります。
8月の研究室ゼミはお休みで、9月から再開します。夏に帰省する人はできる限り8月中に帰省してください。8月末に院試がある4年生は9月に帰省しても構いませんが、ゼミの欠席は極力避けてください。
就職活動・企業インターン
学生にとって就職活動は大事です。企業インターンの参加も含めて就活の制限は原則しませんが、就活を理由に研究室ゼミで進捗報告無しという事態にならないよう、就活と学業のメリハリを付け責任を持って時間管理を行ってください。
主な研究室イベント
4月 歓迎会、5-6月 ジンパ、7月末 大通りビアガーデン、12月 忘年会、2月 研究室旅行